奈良県立医科大学 附属病院 腎臓内科学

Research
研究内容

基礎研究

糖尿病におけるマクロファージによる尿細管障害とアルブミン再吸収障害の機序の解明

この研究は国からのサポート(科研費)を受けています。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K15981/)また、九州大学 病態機能内科学 腎臓研究室と共同研究で行っています。
従来、糖尿病性腎症の腎予後因子として重要なアルブミン尿は、糸球体内圧の上昇に伴う糸球体(アルブミン濾過機能)障害を反映していると解釈されていました。
しかし、有効な手段と考えられている糸球体内圧の正常化のみでは腎症の進行を止めることはできず、現在も増え続ける透析患者数の約半数を糖尿病性腎症が占めています。
近年、アルブミン尿の原因は糸球体障害のみならず腎尿細管(原尿から必要な物質を再吸収する機能)障害も大事な役割をしている(図1)ことが知られています。
腎臓の間質尿細管障害にマクロファージが重要な役割を担っていることに注目して、我々はマクロファージを介した尿細管障害によりアルブミン再吸収経路のうちcubulin/megalinおよびFcRnを介した①トランスサイトーシスによる血中へのリサイクル経路と②ライソソームでの分解経路(図2)のいずれかが障害されてるのではないかという仮説を立てて研究を進めています。

糖尿病におけるマクロファージによる尿細管障害とアルブミン再吸収障害の機序の解明

新規抗動脈硬化因子可溶型Flt-1による腎硬化症の発症機序解明と臨床的展開

この研究は科研費のサポートを受けています。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K16005/
近年、当科では血管内皮の炎症を惹起するサイトカインである胎盤増殖因子(PlGF)とその内因性アンタゴニストである可溶型Flt-1 (sFlt-1)のバランスが動脈硬化疾患の発症ならび進展に重要であることを研究してきました。
血管内皮細胞および末梢血単球に発現するFlt-1は、血管内皮増殖因子(VEGF)ファミリー、特にPlGFをリガンドとする膜受容体であり、Flt-1受容体の活性化は、血管新生や単球浸潤などの機序を介して動脈硬化を進展させます。一方でsFlt-1は、 VEGFやPlGFの中和抗体として働くために動脈硬化に対して抑制的に働きます。
慢性腎臓病においてもPIGF/sFit-1バランスの不均衡が病勢の進行に重要な働きをしている仮説(図)を立てて、①sFlt-1ノックアウトマウスを用いた糖尿病や高血圧による腎障害進展の機序解明と②腎不全特異的sFlt-1発現制御因子の探索を進めています。

新規抗動脈硬化因子可溶型Flt-1による腎硬化症の発症機序解明と臨床的展開

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